【取扱い・メンテナンス】
基本、「繊維」は「負荷」に弱いものです・・・なんといっても元は吹けば飛ぶような「縮れっ毛」のモノもありますから。
「服」(や生地を使った「ポーチ」や「コーディネートアイテム」も)をこよなく愛するお客様方も、ある程度知っておいて損はない(知っている人もいらっしゃるとは思いますが)・・・
意識するだけでも「持ち」がかなり変わってくるはずです。
「負荷」も様々なモノが考えられます。
・摩擦(着用による擦れや異物による引っかかり、裂け)
・熱(アイロン、タンブラー乾燥機)
・水分(洗濯、汗)
・湿気(保管方法によりますが保管場所や梅雨の時期)
・光(日光、照明など)
・洗濯溶剤(塩素系溶剤である漂白剤は要注意)
・虫(繊維の中には虫の大好物も・・・)
と、色々考えられます。
以下、「負荷」の説明を混ぜながら「取り扱い・メンテナンス」についてのお話しです。
大切なアイテムたちを「負荷」から守ってあげられるのはあなただけです!
《品質表示》
そのために、日頃から意識してあげるのはもちろんですが、品質表示・洗濯絵表示・付記用語はご存知でしょうか。
服を見に行ったら「見る」クセをつけてしまうといいのではないでしょうか。
アイテム、デザインによりますが大抵は左脇の縫目かポケットの中(内ポケットだったり後ろのポケットだったり)にラベルが縫い込んであります)に素材や取り扱いに関しての情報が書かれています。
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画像:左 品質表示① 右 品質表示②
まず、その商品が「ナニ」で出来ているのか、100%表示で示されています。
例えば①なら(ちなみに「ボーダーケーブルニットパーカー」です)裏ナシで、コットン80%、ナイロン17%、ポリウレタン3%のコットン素材(このパーカーはニットでした)で出来ている。ということになりますし、②は(このラベルは「二次元と運命が交差するスカート」「本気パニエ」など)裏付きで、表地はポリエステル100%、裏地もポリエステル100%で出来ている。ということになります。
この時点で、「コットンだから通気性よさそう」とか「ウールだから洗い方、アイロンの仕方で縮むかも・・・注意しなきゃ」とか「ポリエステルだから比較的丈夫なはず」とかある程度の「機能的な特徴とか扱い方」の目安になります。
「『乙女』のためのスタイリッシュベスト」のような、メインの生地(前身頃)とサブ配色の生地(後身頃)を違う布にしている場合は「別布」という表記で品質を示します。
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イレギュラーな「品質表示」としては、例えば「フロッキー素材」。
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画像:「夜空のバルーンスカート」
フロッキー グランド:ポリエステル100% パイル:レーヨン100%
「フロッキー素材」は簡単に言うと、ベースの生地に「植毛」したような加工です。
大抵の場合、ベースの生地を「グランド」、「植毛」部分を「パイル」(もしくは「フロッキー」)と表記します。
余談ですが、「フロッキー」は、とにかくこすったり、圧をかけたりするような「摩擦」には十分気を付けないといけません。
当然、経年劣化が進んでいくと、丈夫な「グランド」だけが残ります。「植毛」部分は抜け落ちるか、摩耗消費されていってしまうので、ヘビーローテーションでの着用はもちろん生地を疲れさせていきます。
「フェイクファー」も、ベースの「グランド」生地に「ファー(に似せたアクリルが多い)」を「植毛」しています。
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画像:「赤ずきんフレアショートコート プレミアムボルドー」
(フェイク)ファーの場合、「ファー部分を押し付けるような保管の仕方をしない」のは基本です。ノビノビとリラックスさせてやってください。
「毛が疲れてきたか?」と感じたら(毛乱れ、毛先の固まりなど)ドライヤー(近づけてはいけません。
少し離れたところから。熱要注意です!)で毛が起きる向きから(毛並みと逆向き)風を送り込んであげます。
その後、ペット用ブラシでも良いと思いますが、毛並みを整えるようにブラッシングしてあげます。
雨に濡れた場合は、軽く振って水滴を落とし、乾いたタオルでやさしく拭き取ってあげます。さらにドライヤーを毛並み方向にあて(熱要注意!)、ブラッシングしてあげるとさらに元気を取り戻します。
《洗濯絵表示》
多くの場合、素材の表記である「品質表示」と取り扱い、洗濯方法の表記である「洗濯絵表示」は上の①②の画像のように同じラベルに書かれています。
「クリーニング屋さんが何に注意して処置すればいいのか」というのが第一の目的です。
「お客様ご自身が扱うときにどうすればよいのか」というのが第二でしょうか。
そして、「せっかくのアイテムを大切に、永く使用していただきたい」という作り手側の「想い」もソコには含まれていると受け取ってください。
「うわっ!・・・やってしまった・・・」ということを極力防ぐように、様々な可能性を考えての表記です。至らぬ部分もあるかとは思いますが・・・
以下、あくまでも私個人の感覚ですが、少しでも参考になれば・・・
ご自身で洗濯などされる時には十分にご注意下さい。洗濯に関わることは、そのほとんどが「負荷」であると認識して下さい。
・水洗いの仕方(①でいうと「洗濯機(か手洗い)で30℃程度のぬるま湯を使い弱水流モード」)
繊維にかかる負荷の一つ。
アイテムとして「カタチ」になっている以上、型崩れや縮みにはご注意下さい。
中でも「コットン」や「ウール」は縮みやすいです。「ジーパンの裾上げは、一度洗ってから」と聞いたことがありませんか?
色物は「色を染めている、プリントしている」わけなので、色落ち、色移りにも注意しなくてはなりません。
私は、買ったばかりの色物とか洗濯した回数の少ないモノの洗濯は、必ず分けて洗います。
・漂白の可否(①でいうと「漂白はしないでください」)
繊維にかかる負荷の一つで、ダメージランクでいえばトップクラス。
漂白剤も「塩素系」と「酸素系」があり、「酸素系」の方は比較的繊維に優しい。
ですが、大袈裟に言うとほとんどのモノは漂白出来ないと思って下さい。
「コットン、リネン(麻系)、ポリエステルなどの合成繊維」のシロ!私はそれ以外は極力漂白剤は使いません。
(例えば「二次元と運命が交差するブラウス」のホワイトは漂白可。それでも私は基本、漂白はしません)
繊維へのダメージが大きいので、ひどい場合は摩擦のかかった部分(シャツの首元とか)から糸がボロボロになっていきます。
コレも今でこそ笑えますが、私の大切にしていたシルクの地図柄のシャツ(ホントにいい柄で気に入っていたんですよ・・・)を、当時母親が洗濯してくれていました。しかも「漂白処理」まで・・・ものの見事に「首の後ろ」に擦れる部分の生地がボロボロに・・・かなりのヘビーローテーションでしたし、そのたびに洗濯してもらっていましたし、「シルク」で「柄物」なのに漂白?!「そりゃあそうですよね」という感じでしたがこの時は笑えませんでした・・・ボロボロにほつれてしまった部分を見ていると、すごく擦れて悲鳴を上げていたんだろうな・・・と本気で悲しくなったのを覚えています。
・アイロンの温度(①でいうと「当て布を使用し中温でアイロン可」)
繊維にかかる負荷の一つ。「設定温度」間違えると、ひどい場合はもちろん焦げます。「熱」なので。
日本の絵表示は「高・中・低」と表記があります。
[gallery columns="1" size="large" ids="2998"]
上図を目安にしていただければ。
これも個人的にですが、モノによっては「ウール」は高温でかけてしまいますし、「シルク」は低温でかけますかね・・・
さらに直接アイロンを当てることはほとんどしません。ハンカチなりなんなりを間に入れて「当て布」代わりにします。
縫製や服の仕組みを知っているからだと思いますが、「縫い代の集中する部分」がアイロンの熱によって「圧」がかかり、光ってしまう(「アタリ」「コテ光り」と言われます)のは避けたいので。あくまでも「私は」ですよ?
・ドライクリーニングの可否(①でいうと「ドライクリーニング可」)
溶剤、洗剤によってはやはり負荷はかかりますが、比較的ダメージは少なく済む。その点を重視した処置。
基本ドライクリーニングというのは、繊維に優しく、型崩れしないことに重きを置いています(「クリーニング」の項目で)。ドライクリーニングに適している汚れもありますが、適さない汚れや繊維もあります。
溶剤も「塩素系」と「石油系」を使い分けますし、洗剤も色々使い分けますので、クリーニング屋さんに相談してみましょう。
最近では「家庭でもドライクリーニングできます」と言われていますが、やはりそれなりに手間と時間はかかります。
・しぼり方(①でいうと「優しくしぼって(洗濯機の脱水も)ください」)
これもやはり負荷になってしまいます。
洗濯機でいうトコロの「脱水」がこれにあたります。水分を外に押し出すほどの遠心力がかかりますので、型崩れや摩擦に関係します。
「ヨワク」と表記された①のようなものはガンガンに「脱水」というのは禁止です。洗濯機の「オシャレ着モード」は「脱水」も多少やさしいでしょうかね。それでも心配なら自らの手で「ねじって絞る」のではなく「たたんで押し出す」ようにしてあげた方が良いですね。
・干し方
「日光」「型崩れ」という意味で負荷になります。
基本、絵表示に「陰干し」かどうか記されていますが、①の絵表示は「直射日光を避けて(=陰干し)ハンガー吊りせずに平干し」という表記です。
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直射日光を当てると色褪せしやすい濃い目の色物は直射日光の当たらないトコロに干してあげます。
個人的には、ちょっとでも「色褪せするかも」と思う色物(特に濃い色。クロ、コン、カーキ、ボルドー、パープルなど・・・
「『乙女』のための乗馬風パンツ5」「ミリタリートップス」とか)は陰干しです。
場合によっては「陰干し」の絵表示でなくても「陰干し」します。そういうトコロは必要以上に用心深いかもしれません、私は。
といった感じでしょうか。
繰り返すようですが「へぇ・・・こんな人もいるんだ・・・」と、少しでも参考になれば幸いです。
洗濯絵表示は「洗濯、クリーニングする人のため」に付けられていますので、目を通すだけでも知識として身につくはずです。
《付記用語》
「取り扱い上の注意点」を書き記した紙製(紙でないものもありますが)の「下げ札」。
重要なことが書いてあることが多いので、今まであまり気にしていなかった人も、今後意識して目を通してみて欲しいです。
なかなか親切に書いてありますよ?
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「洗濯後、濡れたまま放置せずに」とか「回転式乾燥機(タンブラー)は縮みやすい」とか色々な情報を仕入れることが出来るんですよ?
ジーパンには必ずと言っていいほど「色移り(ジーパンから落ちた染料で、一緒に洗ったモノが染まってしまう)、色落ち(洗うことにより染料が落ちて、色が薄くなってしまう)」について注意書きがついていますよね。
その他に代表的なものでいうと
「クリーニングネット使用」=型崩れの恐れのあるモノ、他の何かとの絡まり、引っ掛かりの恐れのあるモノ
「スチームアイロン禁止」=極度に縮みの予想されるポリウレタン混のストレッチ素材
「専門のクリーニング店にお持ちください」=レザー、ファー系や、NO.Sでいうと「浴衣シリーズ」とか
などでしょうか。
私が自分で服を選んで買い始めたのは・・・中学生の頃でした。
当初から服は好きでしたが、多分「買い物の様子」は周りの友達と違う感じだったのだろうと思い出されます。
その頃から服についている「品質、洗濯絵表示」と「下げ札(付記用語とか)」をまさぐるように見て、生地をさわりまくって買い物していました。
「繊維」を全種類集めようとしていた記憶があります。
「ポリノジック」(再生繊維の一つ。ほとんど目にすることはないですね)のシャツもまだ健在です。
「下げ札」に至っては、カッコイイ「札」もたくさんあったので捨てられずにためていて、結果的にコレクション状態になっていました・・・(^^;)
いずれにしても、「品質表示、洗濯絵表示(ラベル)」(や、書ききれない場合は2枚3枚と近くに「注意事項のラベル」が縫い込まれているか、別の「下げ札」が値札と一緒にぶら下がっています)に情報がありますので、理解できる範囲で「取り扱い」に関して興味を持って、大切な「自分のアイテム」を永く守ってあげましょう・・・
《クリーニング》
個人的な話で申し訳ないですが、私が引っ越しをした時に、まず何をするかというと・・・
「いいクリーニング屋さん」を探します。
シミや汚れのついた洋服を何も言わずに持って行って(この辺が意地悪い・・・イヤ、真剣なんです)
①シミや汚れを見つけてくれるか
②見つけたそのシミ、汚れに対して「いつ、何を、どうしたか分かりますか?」と聞いてくれるか
③出来るなら外に出さずに「その場所で」年季の入った人が処理してくれる所(チェーン店でもイイお店はあるので「出来れば」です)
というクリーニング屋さんを探します。
とはいっても、ここ最近はあまりクリーニングが必要な服は着なくなりましたけど(横着してるだけですが)。
①の「見つけ出してくれる」のは絶対最低条件です!
②は汚れてからどのくらいの時間が経過しているのか、水性のヨゴレなのか油性のヨゴレなのか、どんな経緯で汚れて何か処置をしたのか。
クリーニング屋さんとしては、ソコを確認しない限り手を施せないですよね・・・これも絶対条件ですね・・・
「水と油」って混ざりませんよね。
大きく言うと、油汚れは油を吸着させる溶剤(ドライクリーニングなど)で。水性のヨゴレは水洗いで。が基本です。
汗はそのほとんどが水分(95%以上)で、残りが皮脂などの油・・・ドライクリーニングでは汗の油汚れ部分は落ちても、水汚れ部分は落ちにくいんです。
ただドライクリーニングは、型崩れや縮みの出やすいウール系のクリーニングには優しいという利点もあります。
ウール系と書きましたが、私だったら・・・家の洗濯機で洗えると思えないものはクリーニング屋さんにお願いします。
NO.Sのアイテムたちで「私だったら・・・」と考えてみると・・・
コート、ジャケット、ワンピース、ファー系は問答無用でクリーニング屋さんです。
ファー系は「赤ずきんフレアショートコート」「ウールチェスジャケットコート」など
シャツはデザインや素材によってはクリーニング屋さん(アイロンが手間ならクリーニング屋さんへ)
「二次元と運命が交差するブラウス」はフリルのスチームを当てて整えてあげて欲しい・・・
「ゴシック調ブラウス」は手洗いでやさしく。フリルやレースを整えて干す。
パンツは「型崩れ」のなさそうなモノ、ポリエステル系は家で(でも丁寧にです)、ウール系の比較的カチッとしたパンツはクリーニング屋さん。
「猫耳ショートパンツ」はオシャレ着モードでネット使用、サスペンダーは取り外して。
「『乙女』のための乗馬風パンツ5(ポリエステル)」もオシャレ着モードで放置せずにサッと陰干し
スカートはよほど家で洗えると思えるモノでなければクリーニング屋さんに出します。
NO.Sで生み出されていくモノたちは、基本的にはクリーニング屋さんに出してあげて欲しいですね。
洗濯表示を付けていますが、「水洗い可」になっているモノでも「オシャレ着モードにする」とか「ネットに入れる」とか「手洗いする」とか・・・
「型崩れ」「色落ち」には十分気を付けてあげて下さい。
基本的に「服」には保形性や補強のために「芯地」という布が使われています(表からは見えないor見えづらいトコロに使用しています)。
「芯地」が洗濯やクリーニングではがれたり、ヨレてしまったりしてしまうのは絶対に避けたいので、「繊維」に優しいドライクリーニングというのは非常にありがたいですし、型崩れ対策としては個人的にはおおすすめです。
《汚れの種類》
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・醤油=中性の台所用洗剤をシミ部分につけて、布でたたくか、歯ブラシでこすり取る
色落ちしそうな生地の場合はまずは水だけでよくすすぎ、洗剤で強くこすらないようにする
ついて間もないシミであればたいていは水で落ちます
・口紅=クレンジングオイルが有効
綿棒にクレンジングオイルをつけ、汚れた部分によく馴染ませてからぬるま湯、または水でよく洗ってみて下さい
・血液=早い段階であれば、水と固形石鹸で十分落ちます(お湯は血液が凝固して落ちなくなってしまうため、水またはぬるま湯で)
時間が経過してしまったものは大根おろしをガーゼに包んでシミ部分をたたくとかなり落ちるそうです。
それぞれに合った処置をしないと、きれいに落ちなかったり、色落ちしてしまったり、逆にシミになってしまったり・・・
・墨汁=墨石鹸が有効だそうです
私は以前、諦めたことがありましたが調べてみたら普通の固形石鹸でもいいらしいですが「墨石鹸」がかなり落ちるそうです
墨石鹸を水とともにシミ部分に塗り込み、歯ブラシでこするそうです。
ついでに歯磨き粉も泡立ててゴシゴシした後に、ぬるま湯で揉み洗いをする。
・ガム=しっかりと氷で冷やす→粘着力が落ちる→爪でポロポロはがせる
それでも落ちない場合は、ベンジンをガム部分によくひたして歯ブラシでこすり取る
汚れの種類によって色々な処置の仕方があります。機会があれば(?)一通りは自分で経験しておくといいと思います。
自分でできるケアや処置もありますが、もちろん無理な汚れはその道のプロであるクリーニング屋さんに情報を伝えてお任せするのが良いですね。
そこで考えてみてください。
そもそも家庭にある洗濯機って、水かお湯(+洗剤など)で洗うことを想定して作られています。
「ソレしか方法がない」のと「汚れを落とすためなら何でもしてくれる」のとでは根本が違う訳です。
そう考えると、水かお湯しか使わずにすべての汚れを落とそうとするのは無理な話だとは思いませんか?
クリーニング屋さんが本当に重要だと思うのは「大切に、永く愛用したい」と思うからこそ。
たまにTV番組で「お直し、クリーニングの職人さん」みたいなのがあると、見入ってしまいます。
知識、技術、経験に職人さんの苦労を惜しまぬあの姿・・・(「苦労」だとは思っていないんでしょうね)「何とか生き返らせてあげたい」という想いが伝わってきますよね・・・
クリーニングやシミ抜き、汚れ落とし・・・適宜判断して自分で処置するものはする。お任せするものはお任せする。のが良いでしょう。
Σ(・ω・ノ)ノ!はっ・・・!
お伝えしたいことが盛りだくさんで、ちょっと散らかってますかね・・・?
意識してあげるだけで「負荷」はかなり軽減されていく!という話。
「負荷」についてあと少し、補足的に見ていきましょう。
《摩擦》
一番はヘビーローテーションを避けてあげる事です。
「生地」も連日連投では「疲れ」を隠せません・・・虫の息のような状態になってしまします・・・(;´Д`)
パンツでいえば内股側は歩いているだけで摩擦を受けますし、裾だってかなり擦れます・・・
コートやジャケット、ワンピース、ブラウス・・・袖のついているモノは袖口、衿首、脇の下周辺は普通の日常動作をしているだけで擦れていきます。
よく言うのは「ウール」。「ウール」には復元性がありますので、1日着用したら3日は間をあけてあげないと、着用により「圧」を受けてつぶれてしまった繊維が時間をかけて復活できない。と、言われています。
あとは「比較的動き回ることが多い日」と思えばヒラヒラした服でない方が・・・とか、
TPO(Time=時間,Place=場所,Occasion=場合)でコーディネートを選んであげる事ですよね。
《熱》
アイロンや乾燥機。それぞれ気を付けなくてはいけません。
アイロンは「熱」で繊維を無理矢理ピシッとさせるわけですから、当て布をしてあげるのは当たり前!(と、私はそう思っています!)
色味の薄い生地(シロとかパステル系)はともかくとして、色味の濃い生地(クロはもちろん、コゲチャ、コン、カーキ、ボルドーなど)は特に当て布は絶対です!私はさらに裏側からアイロンしたりします。
特に、縫い代が集中している衿先や衿の付け根、カフスの付け根などはアイロンで圧をかけることにより縫い代のカタチがクッキリ浮かび上がってしまったり、テカってしまったり・・・
乾燥機はモノによりますが、よくある浴室乾燥機はまあいいかな・・・?と思えます。実際私も使います。
ただ「タンブラー」は注意が必要です。かなりの熱が加えらるのと同時にグルングルン回されて・・・
服に関しては少し神経質かもしれませんが、私は「タンブラー」はかけません。
その昔、私がコインランドリーで洗濯をしていた頃。タンブラー乾燥をしたことがあります。
そもそもタンブラーなどかけてはいけないものだったんですけど「アクリル」のタートルネック(今考えると笑えます)がものの見事にキッズサイズになりました!!
ショックというよりは、ホントに笑えました。\(^o^)/「実験」したと思えばいい経験だったかなと思えます。
「熱」による「縮み」の恐れがあるモノは、急激な加熱は避けるべきです!「コットン」「ウール」「シルク」(100%の場合はもちろん、少しでも混ざっていれば私は避けます)はもちろんですが「レーヨン」「キュプラ」「ポリウレタン混」のストレッチ素材や「ニット製品」(「セーラーPolo」とか)も私だったらタンブラーはかけません。
《水分》
暑ければ汗をかくのは当たり前です。たとえばシャツの場合・・・
衿首は特に擦れますし、汗をかきますので汚れ落としには注意します。袖口なんかもそうですね。
汗(というよりも汗に付着したホコリとか)が特にひどいところは専用の汚れ落としの洗剤をヌリヌリしてなじませるようにして少しもみます。
と、洗濯のための下準備をしたうえで洗濯機に投入です。
ポリエステルのシャツであれば、特別なデザイン(フリル、タック、レースがたたいてある・・・とか)でなければ私は洗濯機で洗ってしまいます(皆さんはしっかり服についている「洗濯表示」をしっかり見て従ってください)。
例えば「二次元と運命が交差するブラウス」のようなフリルがポイントのブラウス。
私だったらクリーニング屋さんにお任せです。
「ポリエステル」なので比較的乾きが早いし、アイロンが不要なほどシワになりづらい特性がありますが、フリル部分のアイロンが手間でなければ十分に自分で大切に洗濯できます。
仮に、私が自分で洗うなら「クリーニングネットに入れて手洗い」で、フリル部分のアイロンは「フリルを整えた上で、アイロンを直に当てずに少し浮かせてスチーム」をします。
《湿気》
「湿気」と聞いてまず思い浮かぶのが「梅雨」ですね。
例えば少し肌寒い梅雨の時期に、さらっと羽織れるジャケットを着て出掛けたとしましょう。
電車の中はムンムンして、汗ばんでしまいます。帰宅してそのまま通気性の悪いギュウギュウのクローゼットに・・・とかやってしまうと「気が付いたらカビが・・・」ということになってしまいます。
言われてみると当然だと思えませんか?
着用して外出するということは、もうそれだけで「自然に汗をかいている」と思った方がいいです。
「汗をかいている」と自覚がなかったとしても、新陳代謝というモノがありますから「目に見えない水蒸気」として水分を発散しているんです。
「汗をかいている」と自覚があったのならなおの事。
まず、すぐにクローゼットにはしまわない。通気性の良い状態にして一晩は放置。
服が水分を発散し終わったあとで、程よい空間(空気が通りやすい)のクローゼットにしまってあげて下さい。
「通気性」と「押しつぶされる」という意味で、ギュウギュウのクローゼットは望ましくありません。
生地(というか繊維)も水分を発散しようとしますから。余計な「湿気」を吸い込んで、放出できない状態は避けて下さい。
ちなみに革製品は特に「湿気」注意です!
洗濯絵表示を見ると必ず「直射日光を避け、通気性の良い場所で保管してください」ということが表記されているはずです。
着用したものは基本洗うなり、クリーニングなり処置をします。
人によりますが、ジャケットやボトム系(パンツやスカート)は毎回は洗わないですよね?洗いますか?
私の場合、特にジーパンは余程の時しか洗いません。
色落ちと他の物への色移り。さらには必要以上にヨレヨレになるのが嫌いなんです。この辺は好みでしょうから人によりますね?
《素材の特性~取り扱い・・・まとめ》
色々と語らせていただきましたが、「服の世界」に身を置いてかれこれ20年以上・・・「服を意識する」ようになったころから考えると30年です。
仕事柄、数えきれないほどの生地や服を取り扱ってきましたので、「これはマズイ!」というものは五感が察知するというか、体に染み付いてしまっています。
幸い、素材に関しての知識もそこに加わっての「勘」というか・・・
洗濯表示を無視するということは・・・私個人の意見としては「自己責任」です。
私も無視するときはそれなりの覚悟(大袈裟・・・^^;)で無視します。
と、今でこそそんなことを言えますが、「シルク柄物漂白事件」や「タンブラー事件」、過去には仕事でも失敗してガッツリコッテリ叱られました。
自分の不甲斐なさに腹立たしく悔しい思いをしましたし、苦い思い出ですね・・・でも、ダメージが大きかった分、良い経験です(ポ、ポジティブッ!)。
随分と長~い間お付き合いいただきましたが、少しでも「お手持ちのアイテムを守ってあげる」「服やポーチなどの新しい見方」を「意識する」ためのきっかけになれれば・・・
それが「ノスプロ講座」の喜びです。
前回:【ノスプロ講座5】織りの種類
次回:【ノスプロ講座7】サイズ・ゆとり量・採寸について
基本、「繊維」は「負荷」に弱いものです・・・なんといっても元は吹けば飛ぶような「縮れっ毛」のモノもありますから。
「服」(や生地を使った「ポーチ」や「コーディネートアイテム」も)をこよなく愛するお客様方も、ある程度知っておいて損はない(知っている人もいらっしゃるとは思いますが)・・・
意識するだけでも「持ち」がかなり変わってくるはずです。
「負荷」も様々なモノが考えられます。
・摩擦(着用による擦れや異物による引っかかり、裂け)
・熱(アイロン、タンブラー乾燥機)
・水分(洗濯、汗)
・湿気(保管方法によりますが保管場所や梅雨の時期)
・光(日光、照明など)
・洗濯溶剤(塩素系溶剤である漂白剤は要注意)
・虫(繊維の中には虫の大好物も・・・)
と、色々考えられます。
以下、「負荷」の説明を混ぜながら「取り扱い・メンテナンス」についてのお話しです。
大切なアイテムたちを「負荷」から守ってあげられるのはあなただけです!
《品質表示》
そのために、日頃から意識してあげるのはもちろんですが、品質表示・洗濯絵表示・付記用語はご存知でしょうか。
服を見に行ったら「見る」クセをつけてしまうといいのではないでしょうか。
アイテム、デザインによりますが大抵は左脇の縫目かポケットの中(内ポケットだったり後ろのポケットだったり)にラベルが縫い込んであります)に素材や取り扱いに関しての情報が書かれています。
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画像:左 品質表示① 右 品質表示②
まず、その商品が「ナニ」で出来ているのか、100%表示で示されています。
例えば①なら(ちなみに「ボーダーケーブルニットパーカー」です)裏ナシで、コットン80%、ナイロン17%、ポリウレタン3%のコットン素材(このパーカーはニットでした)で出来ている。ということになりますし、②は(このラベルは「二次元と運命が交差するスカート」「本気パニエ」など)裏付きで、表地はポリエステル100%、裏地もポリエステル100%で出来ている。ということになります。
この時点で、「コットンだから通気性よさそう」とか「ウールだから洗い方、アイロンの仕方で縮むかも・・・注意しなきゃ」とか「ポリエステルだから比較的丈夫なはず」とかある程度の「機能的な特徴とか扱い方」の目安になります。
「『乙女』のためのスタイリッシュベスト」のような、メインの生地(前身頃)とサブ配色の生地(後身頃)を違う布にしている場合は「別布」という表記で品質を示します。
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イレギュラーな「品質表示」としては、例えば「フロッキー素材」。
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画像:「夜空のバルーンスカート」
フロッキー グランド:ポリエステル100% パイル:レーヨン100%
「フロッキー素材」は簡単に言うと、ベースの生地に「植毛」したような加工です。
大抵の場合、ベースの生地を「グランド」、「植毛」部分を「パイル」(もしくは「フロッキー」)と表記します。
余談ですが、「フロッキー」は、とにかくこすったり、圧をかけたりするような「摩擦」には十分気を付けないといけません。
当然、経年劣化が進んでいくと、丈夫な「グランド」だけが残ります。「植毛」部分は抜け落ちるか、摩耗消費されていってしまうので、ヘビーローテーションでの着用はもちろん生地を疲れさせていきます。
「フェイクファー」も、ベースの「グランド」生地に「ファー(に似せたアクリルが多い)」を「植毛」しています。
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画像:「赤ずきんフレアショートコート プレミアムボルドー」
(フェイク)ファーの場合、「ファー部分を押し付けるような保管の仕方をしない」のは基本です。ノビノビとリラックスさせてやってください。
「毛が疲れてきたか?」と感じたら(毛乱れ、毛先の固まりなど)ドライヤー(近づけてはいけません。
少し離れたところから。熱要注意です!)で毛が起きる向きから(毛並みと逆向き)風を送り込んであげます。
その後、ペット用ブラシでも良いと思いますが、毛並みを整えるようにブラッシングしてあげます。
雨に濡れた場合は、軽く振って水滴を落とし、乾いたタオルでやさしく拭き取ってあげます。さらにドライヤーを毛並み方向にあて(熱要注意!)、ブラッシングしてあげるとさらに元気を取り戻します。
《洗濯絵表示》
多くの場合、素材の表記である「品質表示」と取り扱い、洗濯方法の表記である「洗濯絵表示」は上の①②の画像のように同じラベルに書かれています。
「クリーニング屋さんが何に注意して処置すればいいのか」というのが第一の目的です。
「お客様ご自身が扱うときにどうすればよいのか」というのが第二でしょうか。
そして、「せっかくのアイテムを大切に、永く使用していただきたい」という作り手側の「想い」もソコには含まれていると受け取ってください。
「うわっ!・・・やってしまった・・・」ということを極力防ぐように、様々な可能性を考えての表記です。至らぬ部分もあるかとは思いますが・・・
以下、あくまでも私個人の感覚ですが、少しでも参考になれば・・・
ご自身で洗濯などされる時には十分にご注意下さい。洗濯に関わることは、そのほとんどが「負荷」であると認識して下さい。
・水洗いの仕方(①でいうと「洗濯機(か手洗い)で30℃程度のぬるま湯を使い弱水流モード」)
繊維にかかる負荷の一つ。
アイテムとして「カタチ」になっている以上、型崩れや縮みにはご注意下さい。
中でも「コットン」や「ウール」は縮みやすいです。「ジーパンの裾上げは、一度洗ってから」と聞いたことがありませんか?
色物は「色を染めている、プリントしている」わけなので、色落ち、色移りにも注意しなくてはなりません。
私は、買ったばかりの色物とか洗濯した回数の少ないモノの洗濯は、必ず分けて洗います。
・漂白の可否(①でいうと「漂白はしないでください」)
繊維にかかる負荷の一つで、ダメージランクでいえばトップクラス。
漂白剤も「塩素系」と「酸素系」があり、「酸素系」の方は比較的繊維に優しい。
ですが、大袈裟に言うとほとんどのモノは漂白出来ないと思って下さい。
「コットン、リネン(麻系)、ポリエステルなどの合成繊維」のシロ!私はそれ以外は極力漂白剤は使いません。
(例えば「二次元と運命が交差するブラウス」のホワイトは漂白可。それでも私は基本、漂白はしません)
繊維へのダメージが大きいので、ひどい場合は摩擦のかかった部分(シャツの首元とか)から糸がボロボロになっていきます。
コレも今でこそ笑えますが、私の大切にしていたシルクの地図柄のシャツ(ホントにいい柄で気に入っていたんですよ・・・)を、当時母親が洗濯してくれていました。しかも「漂白処理」まで・・・ものの見事に「首の後ろ」に擦れる部分の生地がボロボロに・・・かなりのヘビーローテーションでしたし、そのたびに洗濯してもらっていましたし、「シルク」で「柄物」なのに漂白?!「そりゃあそうですよね」という感じでしたがこの時は笑えませんでした・・・ボロボロにほつれてしまった部分を見ていると、すごく擦れて悲鳴を上げていたんだろうな・・・と本気で悲しくなったのを覚えています。
・アイロンの温度(①でいうと「当て布を使用し中温でアイロン可」)
繊維にかかる負荷の一つ。「設定温度」間違えると、ひどい場合はもちろん焦げます。「熱」なので。
日本の絵表示は「高・中・低」と表記があります。
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上図を目安にしていただければ。
これも個人的にですが、モノによっては「ウール」は高温でかけてしまいますし、「シルク」は低温でかけますかね・・・
さらに直接アイロンを当てることはほとんどしません。ハンカチなりなんなりを間に入れて「当て布」代わりにします。
縫製や服の仕組みを知っているからだと思いますが、「縫い代の集中する部分」がアイロンの熱によって「圧」がかかり、光ってしまう(「アタリ」「コテ光り」と言われます)のは避けたいので。あくまでも「私は」ですよ?
・ドライクリーニングの可否(①でいうと「ドライクリーニング可」)
溶剤、洗剤によってはやはり負荷はかかりますが、比較的ダメージは少なく済む。その点を重視した処置。
基本ドライクリーニングというのは、繊維に優しく、型崩れしないことに重きを置いています(「クリーニング」の項目で)。ドライクリーニングに適している汚れもありますが、適さない汚れや繊維もあります。
溶剤も「塩素系」と「石油系」を使い分けますし、洗剤も色々使い分けますので、クリーニング屋さんに相談してみましょう。
最近では「家庭でもドライクリーニングできます」と言われていますが、やはりそれなりに手間と時間はかかります。
・しぼり方(①でいうと「優しくしぼって(洗濯機の脱水も)ください」)
これもやはり負荷になってしまいます。
洗濯機でいうトコロの「脱水」がこれにあたります。水分を外に押し出すほどの遠心力がかかりますので、型崩れや摩擦に関係します。
「ヨワク」と表記された①のようなものはガンガンに「脱水」というのは禁止です。洗濯機の「オシャレ着モード」は「脱水」も多少やさしいでしょうかね。それでも心配なら自らの手で「ねじって絞る」のではなく「たたんで押し出す」ようにしてあげた方が良いですね。
・干し方
「日光」「型崩れ」という意味で負荷になります。
基本、絵表示に「陰干し」かどうか記されていますが、①の絵表示は「直射日光を避けて(=陰干し)ハンガー吊りせずに平干し」という表記です。
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直射日光を当てると色褪せしやすい濃い目の色物は直射日光の当たらないトコロに干してあげます。
個人的には、ちょっとでも「色褪せするかも」と思う色物(特に濃い色。クロ、コン、カーキ、ボルドー、パープルなど・・・
「『乙女』のための乗馬風パンツ5」「ミリタリートップス」とか)は陰干しです。
場合によっては「陰干し」の絵表示でなくても「陰干し」します。そういうトコロは必要以上に用心深いかもしれません、私は。
といった感じでしょうか。
繰り返すようですが「へぇ・・・こんな人もいるんだ・・・」と、少しでも参考になれば幸いです。
洗濯絵表示は「洗濯、クリーニングする人のため」に付けられていますので、目を通すだけでも知識として身につくはずです。
《付記用語》
「取り扱い上の注意点」を書き記した紙製(紙でないものもありますが)の「下げ札」。
重要なことが書いてあることが多いので、今まであまり気にしていなかった人も、今後意識して目を通してみて欲しいです。
なかなか親切に書いてありますよ?
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「洗濯後、濡れたまま放置せずに」とか「回転式乾燥機(タンブラー)は縮みやすい」とか色々な情報を仕入れることが出来るんですよ?
ジーパンには必ずと言っていいほど「色移り(ジーパンから落ちた染料で、一緒に洗ったモノが染まってしまう)、色落ち(洗うことにより染料が落ちて、色が薄くなってしまう)」について注意書きがついていますよね。
その他に代表的なものでいうと
「クリーニングネット使用」=型崩れの恐れのあるモノ、他の何かとの絡まり、引っ掛かりの恐れのあるモノ
「スチームアイロン禁止」=極度に縮みの予想されるポリウレタン混のストレッチ素材
「専門のクリーニング店にお持ちください」=レザー、ファー系や、NO.Sでいうと「浴衣シリーズ」とか
などでしょうか。
私が自分で服を選んで買い始めたのは・・・中学生の頃でした。
当初から服は好きでしたが、多分「買い物の様子」は周りの友達と違う感じだったのだろうと思い出されます。
その頃から服についている「品質、洗濯絵表示」と「下げ札(付記用語とか)」をまさぐるように見て、生地をさわりまくって買い物していました。
「繊維」を全種類集めようとしていた記憶があります。
「ポリノジック」(再生繊維の一つ。ほとんど目にすることはないですね)のシャツもまだ健在です。
「下げ札」に至っては、カッコイイ「札」もたくさんあったので捨てられずにためていて、結果的にコレクション状態になっていました・・・(^^;)
いずれにしても、「品質表示、洗濯絵表示(ラベル)」(や、書ききれない場合は2枚3枚と近くに「注意事項のラベル」が縫い込まれているか、別の「下げ札」が値札と一緒にぶら下がっています)に情報がありますので、理解できる範囲で「取り扱い」に関して興味を持って、大切な「自分のアイテム」を永く守ってあげましょう・・・
《クリーニング》
個人的な話で申し訳ないですが、私が引っ越しをした時に、まず何をするかというと・・・
「いいクリーニング屋さん」を探します。
シミや汚れのついた洋服を何も言わずに持って行って(この辺が意地悪い・・・イヤ、真剣なんです)
①シミや汚れを見つけてくれるか
②見つけたそのシミ、汚れに対して「いつ、何を、どうしたか分かりますか?」と聞いてくれるか
③出来るなら外に出さずに「その場所で」年季の入った人が処理してくれる所(チェーン店でもイイお店はあるので「出来れば」です)
というクリーニング屋さんを探します。
とはいっても、ここ最近はあまりクリーニングが必要な服は着なくなりましたけど(横着してるだけですが)。
①の「見つけ出してくれる」のは絶対最低条件です!
②は汚れてからどのくらいの時間が経過しているのか、水性のヨゴレなのか油性のヨゴレなのか、どんな経緯で汚れて何か処置をしたのか。
クリーニング屋さんとしては、ソコを確認しない限り手を施せないですよね・・・これも絶対条件ですね・・・
「水と油」って混ざりませんよね。
大きく言うと、油汚れは油を吸着させる溶剤(ドライクリーニングなど)で。水性のヨゴレは水洗いで。が基本です。
汗はそのほとんどが水分(95%以上)で、残りが皮脂などの油・・・ドライクリーニングでは汗の油汚れ部分は落ちても、水汚れ部分は落ちにくいんです。
ただドライクリーニングは、型崩れや縮みの出やすいウール系のクリーニングには優しいという利点もあります。
ウール系と書きましたが、私だったら・・・家の洗濯機で洗えると思えないものはクリーニング屋さんにお願いします。
NO.Sのアイテムたちで「私だったら・・・」と考えてみると・・・
コート、ジャケット、ワンピース、ファー系は問答無用でクリーニング屋さんです。
ファー系は「赤ずきんフレアショートコート」「ウールチェスジャケットコート」など
シャツはデザインや素材によってはクリーニング屋さん(アイロンが手間ならクリーニング屋さんへ)
「二次元と運命が交差するブラウス」はフリルのスチームを当てて整えてあげて欲しい・・・
「ゴシック調ブラウス」は手洗いでやさしく。フリルやレースを整えて干す。
パンツは「型崩れ」のなさそうなモノ、ポリエステル系は家で(でも丁寧にです)、ウール系の比較的カチッとしたパンツはクリーニング屋さん。
「猫耳ショートパンツ」はオシャレ着モードでネット使用、サスペンダーは取り外して。
「『乙女』のための乗馬風パンツ5(ポリエステル)」もオシャレ着モードで放置せずにサッと陰干し
スカートはよほど家で洗えると思えるモノでなければクリーニング屋さんに出します。
NO.Sで生み出されていくモノたちは、基本的にはクリーニング屋さんに出してあげて欲しいですね。
洗濯表示を付けていますが、「水洗い可」になっているモノでも「オシャレ着モードにする」とか「ネットに入れる」とか「手洗いする」とか・・・
「型崩れ」「色落ち」には十分気を付けてあげて下さい。
基本的に「服」には保形性や補強のために「芯地」という布が使われています(表からは見えないor見えづらいトコロに使用しています)。
「芯地」が洗濯やクリーニングではがれたり、ヨレてしまったりしてしまうのは絶対に避けたいので、「繊維」に優しいドライクリーニングというのは非常にありがたいですし、型崩れ対策としては個人的にはおおすすめです。
《汚れの種類》
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・醤油=中性の台所用洗剤をシミ部分につけて、布でたたくか、歯ブラシでこすり取る
色落ちしそうな生地の場合はまずは水だけでよくすすぎ、洗剤で強くこすらないようにする
ついて間もないシミであればたいていは水で落ちます
・口紅=クレンジングオイルが有効
綿棒にクレンジングオイルをつけ、汚れた部分によく馴染ませてからぬるま湯、または水でよく洗ってみて下さい
・血液=早い段階であれば、水と固形石鹸で十分落ちます(お湯は血液が凝固して落ちなくなってしまうため、水またはぬるま湯で)
時間が経過してしまったものは大根おろしをガーゼに包んでシミ部分をたたくとかなり落ちるそうです。
それぞれに合った処置をしないと、きれいに落ちなかったり、色落ちしてしまったり、逆にシミになってしまったり・・・
・墨汁=墨石鹸が有効だそうです
私は以前、諦めたことがありましたが調べてみたら普通の固形石鹸でもいいらしいですが「墨石鹸」がかなり落ちるそうです
墨石鹸を水とともにシミ部分に塗り込み、歯ブラシでこするそうです。
ついでに歯磨き粉も泡立ててゴシゴシした後に、ぬるま湯で揉み洗いをする。
・ガム=しっかりと氷で冷やす→粘着力が落ちる→爪でポロポロはがせる
それでも落ちない場合は、ベンジンをガム部分によくひたして歯ブラシでこすり取る
汚れの種類によって色々な処置の仕方があります。機会があれば(?)一通りは自分で経験しておくといいと思います。
自分でできるケアや処置もありますが、もちろん無理な汚れはその道のプロであるクリーニング屋さんに情報を伝えてお任せするのが良いですね。
そこで考えてみてください。
そもそも家庭にある洗濯機って、水かお湯(+洗剤など)で洗うことを想定して作られています。
「ソレしか方法がない」のと「汚れを落とすためなら何でもしてくれる」のとでは根本が違う訳です。
そう考えると、水かお湯しか使わずにすべての汚れを落とそうとするのは無理な話だとは思いませんか?
クリーニング屋さんが本当に重要だと思うのは「大切に、永く愛用したい」と思うからこそ。
たまにTV番組で「お直し、クリーニングの職人さん」みたいなのがあると、見入ってしまいます。
知識、技術、経験に職人さんの苦労を惜しまぬあの姿・・・(「苦労」だとは思っていないんでしょうね)「何とか生き返らせてあげたい」という想いが伝わってきますよね・・・
クリーニングやシミ抜き、汚れ落とし・・・適宜判断して自分で処置するものはする。お任せするものはお任せする。のが良いでしょう。
Σ(・ω・ノ)ノ!はっ・・・!
お伝えしたいことが盛りだくさんで、ちょっと散らかってますかね・・・?
意識してあげるだけで「負荷」はかなり軽減されていく!という話。
「負荷」についてあと少し、補足的に見ていきましょう。
《摩擦》
一番はヘビーローテーションを避けてあげる事です。
「生地」も連日連投では「疲れ」を隠せません・・・虫の息のような状態になってしまします・・・(;´Д`)
パンツでいえば内股側は歩いているだけで摩擦を受けますし、裾だってかなり擦れます・・・
コートやジャケット、ワンピース、ブラウス・・・袖のついているモノは袖口、衿首、脇の下周辺は普通の日常動作をしているだけで擦れていきます。
よく言うのは「ウール」。「ウール」には復元性がありますので、1日着用したら3日は間をあけてあげないと、着用により「圧」を受けてつぶれてしまった繊維が時間をかけて復活できない。と、言われています。
あとは「比較的動き回ることが多い日」と思えばヒラヒラした服でない方が・・・とか、
TPO(Time=時間,Place=場所,Occasion=場合)でコーディネートを選んであげる事ですよね。
《熱》
アイロンや乾燥機。それぞれ気を付けなくてはいけません。
アイロンは「熱」で繊維を無理矢理ピシッとさせるわけですから、当て布をしてあげるのは当たり前!(と、私はそう思っています!)
色味の薄い生地(シロとかパステル系)はともかくとして、色味の濃い生地(クロはもちろん、コゲチャ、コン、カーキ、ボルドーなど)は特に当て布は絶対です!私はさらに裏側からアイロンしたりします。
特に、縫い代が集中している衿先や衿の付け根、カフスの付け根などはアイロンで圧をかけることにより縫い代のカタチがクッキリ浮かび上がってしまったり、テカってしまったり・・・
乾燥機はモノによりますが、よくある浴室乾燥機はまあいいかな・・・?と思えます。実際私も使います。
ただ「タンブラー」は注意が必要です。かなりの熱が加えらるのと同時にグルングルン回されて・・・
服に関しては少し神経質かもしれませんが、私は「タンブラー」はかけません。
その昔、私がコインランドリーで洗濯をしていた頃。タンブラー乾燥をしたことがあります。
そもそもタンブラーなどかけてはいけないものだったんですけど「アクリル」のタートルネック(今考えると笑えます)がものの見事にキッズサイズになりました!!
ショックというよりは、ホントに笑えました。\(^o^)/「実験」したと思えばいい経験だったかなと思えます。
「熱」による「縮み」の恐れがあるモノは、急激な加熱は避けるべきです!「コットン」「ウール」「シルク」(100%の場合はもちろん、少しでも混ざっていれば私は避けます)はもちろんですが「レーヨン」「キュプラ」「ポリウレタン混」のストレッチ素材や「ニット製品」(「セーラーPolo」とか)も私だったらタンブラーはかけません。
《水分》
暑ければ汗をかくのは当たり前です。たとえばシャツの場合・・・
衿首は特に擦れますし、汗をかきますので汚れ落としには注意します。袖口なんかもそうですね。
汗(というよりも汗に付着したホコリとか)が特にひどいところは専用の汚れ落としの洗剤をヌリヌリしてなじませるようにして少しもみます。
と、洗濯のための下準備をしたうえで洗濯機に投入です。
ポリエステルのシャツであれば、特別なデザイン(フリル、タック、レースがたたいてある・・・とか)でなければ私は洗濯機で洗ってしまいます(皆さんはしっかり服についている「洗濯表示」をしっかり見て従ってください)。
例えば「二次元と運命が交差するブラウス」のようなフリルがポイントのブラウス。
私だったらクリーニング屋さんにお任せです。
「ポリエステル」なので比較的乾きが早いし、アイロンが不要なほどシワになりづらい特性がありますが、フリル部分のアイロンが手間でなければ十分に自分で大切に洗濯できます。
仮に、私が自分で洗うなら「クリーニングネットに入れて手洗い」で、フリル部分のアイロンは「フリルを整えた上で、アイロンを直に当てずに少し浮かせてスチーム」をします。
《湿気》
「湿気」と聞いてまず思い浮かぶのが「梅雨」ですね。
例えば少し肌寒い梅雨の時期に、さらっと羽織れるジャケットを着て出掛けたとしましょう。
電車の中はムンムンして、汗ばんでしまいます。帰宅してそのまま通気性の悪いギュウギュウのクローゼットに・・・とかやってしまうと「気が付いたらカビが・・・」ということになってしまいます。
言われてみると当然だと思えませんか?
着用して外出するということは、もうそれだけで「自然に汗をかいている」と思った方がいいです。
「汗をかいている」と自覚がなかったとしても、新陳代謝というモノがありますから「目に見えない水蒸気」として水分を発散しているんです。
「汗をかいている」と自覚があったのならなおの事。
まず、すぐにクローゼットにはしまわない。通気性の良い状態にして一晩は放置。
服が水分を発散し終わったあとで、程よい空間(空気が通りやすい)のクローゼットにしまってあげて下さい。
「通気性」と「押しつぶされる」という意味で、ギュウギュウのクローゼットは望ましくありません。
生地(というか繊維)も水分を発散しようとしますから。余計な「湿気」を吸い込んで、放出できない状態は避けて下さい。
ちなみに革製品は特に「湿気」注意です!
洗濯絵表示を見ると必ず「直射日光を避け、通気性の良い場所で保管してください」ということが表記されているはずです。
着用したものは基本洗うなり、クリーニングなり処置をします。
人によりますが、ジャケットやボトム系(パンツやスカート)は毎回は洗わないですよね?洗いますか?
私の場合、特にジーパンは余程の時しか洗いません。
色落ちと他の物への色移り。さらには必要以上にヨレヨレになるのが嫌いなんです。この辺は好みでしょうから人によりますね?
《素材の特性~取り扱い・・・まとめ》
色々と語らせていただきましたが、「服の世界」に身を置いてかれこれ20年以上・・・「服を意識する」ようになったころから考えると30年です。
仕事柄、数えきれないほどの生地や服を取り扱ってきましたので、「これはマズイ!」というものは五感が察知するというか、体に染み付いてしまっています。
幸い、素材に関しての知識もそこに加わっての「勘」というか・・・
洗濯表示を無視するということは・・・私個人の意見としては「自己責任」です。
私も無視するときはそれなりの覚悟(大袈裟・・・^^;)で無視します。
と、今でこそそんなことを言えますが、「シルク柄物漂白事件」や「タンブラー事件」、過去には仕事でも失敗してガッツリコッテリ叱られました。
自分の不甲斐なさに腹立たしく悔しい思いをしましたし、苦い思い出ですね・・・でも、ダメージが大きかった分、良い経験です(ポ、ポジティブッ!)。
随分と長~い間お付き合いいただきましたが、少しでも「お手持ちのアイテムを守ってあげる」「服やポーチなどの新しい見方」を「意識する」ためのきっかけになれれば・・・
それが「ノスプロ講座」の喜びです。
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