【ノスプロ講座1】素材(マテリアル)について ~導入編~

~ NO.S PROJECTと一緒に学ぶ"ノスプロ講座"がスタートします! ~ Comment by 店長

NO.S PROJECTをもっと知りたいあなたに。
NO.S PROJECTと一緒に学ぶ"ノスプロ講座"がスタートします!

今回から始まるノスプロ講座、先生役はNO.S PROJECT開発メンバーのパタンナーです。
パタンナーとしての8年の経験を活かし、
服飾専門学校で『パターン技法・縫製技法・アパレル生産技術・マテリアル(素材)・カラーリング』の科目の教鞭を15年ほどとっていた経歴の持ち主。

授業料を払わないと学べないような専門知識まで。
持ち得る知識と経験を惜しみなく詰め込んだ「ノスプロ講座」です。
「知れば知るほど面白い」「大事な洋服を大切にする方法」を皆さまにお伝えしていきます。

第一回目となる本日は素材シリーズの導入編。
私たちの生地選びという観点から、素材の特徴、特性、成り立ち、取扱い等々・・・
お洋服がどんな素材でどのように作られているのか。

"知るともっと好きになる"
NO.S PROJECTの新しい楽しみ方「ノスプロ講座」本日よりスタートです!

 

《はじめに・・・》  Written by パタンナー
服飾で使われる主な素材は、コットンやウールのような天然繊維と、
レーヨン、ポリエステル、ナイロン、アクリルなどの化学繊維に大別されます。
更に天然繊維は植物繊維と動物繊維に分かれ、化学繊維は主に、再生繊維、半合成繊維、合成繊維に分けられます。

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ちょっと堅苦しい話になりますが天然繊維とは、文字通り「自然」の恵みを拝借しています。
たとえばウールであれば「羊の毛」になりますが、羊が生きていくうえで必要な機能が「羊の毛」には宿っています。宿っているというよりは必要に応じて「進化してきた」と表現した方が的確でしょうか。

羊毛の構造は2種類の違う性質をもった細胞(湿気や熱で縮む細胞と伸びる細胞)が外皮でおおわれています。
ヒトの毛髪で例えるとキューティクルにあたるモノです。
この外皮自体は水をはじく「撥水(はっすい)性」を持っていますが、中の細胞は湿気を吸ってくれる「吸湿性」を持っています。
吸湿することにより2種類の細胞が作用して「毛が巻いてくる」状態になり(巻くのはそれだけが理由ではありませんが・・・)、
「巻く」ことによりそこに空気がたまるスペースが出来、抜群に温かい「保温性」により、寒い外気から身を守ることにつながっていきます。

これと同じことがカシミヤ(コレは山羊系ですが)などでも起こっているので、特に外敵から身を守るために、高山の岩場(とても寒い!)を拠点に生息するカシミヤはさらに「保温性」の良さが高まります。

「自然」の恵みにも限度があるし、いろんな意味で不安定・・・何とかならないか?と知恵や技術が発達するにつれて、世に搾り出されたのが化学繊維です。
化学繊維は「人工」ですから、「欲しいモノを、欲しい時に、欲しい分だけ」必要に応じて手に入れることが出来ます。化学繊維の最大の長所です。

天然のコットン にあやかって生み出した レーヨン や キュプラ
天然のウール の良さを作れないかと生み出された アクリル
天然のシルクの美しさを何とか再現できないかと生み出されたアセテート・・・

とは言え「自然」に育まれ、進化してきた繊維の構造をそのまま再現することは難しく、やはり限界があります。
ただ、日本のその技術というのは本当に素晴らしく、中でもポリエステルなどは最たるモノですが、世界が注目するほどの特性を持たせたポリエステル素材が日々研究&開発されています。

本来、吸水性に乏しいポリエステル。
ソレを感じさせないようにするための「水はけのよいカタチ」に繊維を加工してしまったり・・・

(いつだったかのサッカーのW杯ユニフォームには吸水性の良い「コットン」でなく、この「ポリエステル」を使用!ちょっとビックリでした)

ヒトの体温に反応してさらに発熱させるような加工を施して「保温性」を高めたり・・・
もちろんその他にも「効果」を付与された数えきれないほどの化学繊維が存在します。

 

《ポリエステル=安いってホント・・・?》
全般的に見て、天然繊維よりは化学繊維の方が安いのは確かです。そもそもそのために開発されたわけですから・・・
しかし、ピックアップされるなら「安価」という部分より「加工しやすい」という部分です。
化学繊維の開発当初、天然繊維よりも「安く」「加工しやすい」「生産量もコントロール出来る」という特性の中で、「安価」という部分が特にピックアップされやすいですが、近年のポリエステル素材は、決して「安価」ではなく、むしろさまざまな追加効果が付与されて「高価」なポリエステル素材が多いのが現状です。「加工しやすい」上に「加工技術」も、日本はトップクラスですからね。

特にウール混のストレッチ系ポリエステル素材などは、シルクやアンゴラといった高価な繊維が混紡されることにより、原料費、加工賃(さらに織機を動かすための燃料費)がグンと跳ね上がってしまいます。
NO.Sで使っているポリエステルも、間違いなく「安価ではない」部類に位置しています。

むしろ・・・我々が「コレいい!」と言って生地をセレクトすると「普通のポリエステル」ではない何かしらの「効果」を持った生地になってしまいます。生地の値段が高くてあきらめることもしばしば・・・(-_-;)
もちろん「安いポリエステル素材」はありますが、現在では「ポリエステル素材だから安い」という公式はそうそう当てはまらないですね。

 

《次回より各素材編スタート!》
素材の特性が「使用する生地を選ぶ条件」であることがほとんどです。
今回から始まる素材シリーズでは「NO.S PROJECTの生地選び」というディープ(ちょっとだけですよ・・・)な観点からも楽しめるコアな人がいるのではないかと考え、生地の特性・取り扱い方をお伝えしていきます。

次回からスタートする”ノスプロ講座 素材編”では、まずは身近な「ウール・コットン」からご紹介致します。
お楽しみに!

次回:【ノスプロ講座】素材(マテリアル)について ~ウール・コットン編~

~ あとがき ~ Comment by 店長
もうどのくらい前になるでしょうか。
「二次元ブラウスのシルクとポリエステルの取扱い方や、乗馬風パンツのウールとポリエステルの違いなど、
素材の違いが分からないので教えて欲しいといったお客様からのご意見が多いので、素材について記事を書いて貰えませんか?」とお願いして数か月・・・

「そろそろ記事送ってもいいですか?」と渡された記事のボリュームにまず驚きました。論文ですか?!
今回は序章の導入編ですが、超大作となっておりますので、来週よりそれぞれの素材について何篇かに分けてお伝えします。

デザイン画は苦手と語る、ここ近年NO.Sにドップリつかっているパタンナーが、持ち得る知識と経験を惜しみなく詰め込んだ「ノスプロ講座」
授業料を払わないと学べないような専門知識まで。優しく、詳しく、ときにはさらに一歩踏み込んだ話まで・・・
NO.S PROJECTに勤めるまではアパレルとは全く異なる専攻(建築)だった私にとっても、お客様と一緒の目線で学べる、為になるお話がいっぱいです。

私もお客様皆さまと一緒に学んで参ります。
NO.S PROJECTと一緒に学ぶ"ノスプロ講座"、次回もお楽しみに!

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